去年、九州保健福祉大学の建学の理念を刻すためのモニュメントを製作させていただきました。県内数社のデザインコンペで選考されての製作でした。デザインの最大のポイントは「本物である事」そこが評価されたのだと思っています。
何が本物かというと、「素材」です。ステンレス製だろうと誰もが思うはずですが・・・実はチタンで出来ているんです。見た目はステンレスと全く代りません。予算も制限があったのに、何故わざわざ10倍も値段が高く、加工も特殊で難しいチタンにしたのか。ステンレスでは説得力が無いからです。
ひどい骨折をした場合、人口の骨を入れて手術をしますね。あの人工骨の素材がチタンなのです。難しい言い方では、「人体との親和性」が非常に高い、といいます。体に入れても拒絶反応が起こりにくい。人体に優しい素材だと言う事ですね。だから、医療や福祉の現場で活躍する人材を輩出する大学を象徴するモニュメントにふさわしい。という理屈です。
一見無駄なようですが、それでも本物を使う意気込みが作品の価値を上げるんだと思います。これは、デザイナーである僕の意気込みでもあるし、製作で苦労してくれたチタン加工では業界屈指の技術、森山工業株式会社の意気込みでもあり、誰より、このデザインを採用し、製作を決定していただいた九州保健福祉大学の本物に対する意気込みであるのです。